Excelで問い合わせ件数を予測しよう!
コールセンターの運営において、問い合わせ件数の予測は重要な課題です。
しかし、明確なメソッドがないまま経験を元に感覚で予測し、自信を持てず悩んでいる方も多いでしょう。
そんな皆様に朗報です!実は御馴染みExcelの関数1つでおおよその予測が可能です。
FORECAST.ETS関数を駆使すれば、データの傾向や季節性を的確に把握し、将来のデータを効果的に予測できます。
本記事では、この優れた機能を活用して、今後の問い合わせ件数を予測する方法を解説します。
未来の需要を把握し、効率的な運営を実現するために、是非この手法を取り入れてみましょう。
凄い!Excelでそこまで出来るの!?
FORECAST.ETS関数の使い方
ExcelのFORECAST.ETS関数は、時系列データを分析し将来の傾向を予測するために使用されます。
以下にFORECAST.ETS関数の使い方を示します。
引数の説明(問い合わせ件数を予測する場合)
引数 | 意味 |
---|---|
目標期日 | 予測したい日付または時刻を指定します。 |
値 | 過去実績の日付または時刻における問い合わせ件数を範囲選択します。 |
タイムライン | 過去実績の日付または時刻を範囲選択します。 |
季節性 | 季節性の影響について、周期を指定します。0~最大8760(1年間の時間数)。 ・0:季節性を考慮しない ・1(or 省略):自動検出 ・2以降は周期 例:7・・・日次集計で、何曜日か?が件数に大きく影響する場合に有効 例:12・・・月次集計で、何月か?が件数に大きく影響する場合に有効 |
補間 | タイムライン内にデータの欠落がある場合、欠落部分を補間します。 ・0:欠落部分を0とする。 ・1(or 省略):欠落部分を自動的に保管する。 ※オススメ |
集計 | 同じタイムラインに複数の値がある場合、どのデータを採用するか?を選択します。 ・1(or 省略):平均値 ・2:数値の個数 ・3:データの個数 ・4:最大値 ・5:中央値 ・6:最小値 ・7:合計値 |
使用例
具体例を下記に挙げます。
ここでは、1月1日(日)~1月16日(月)迄の問い合わせ実績データを基に1月17日(火)の件数を予測しました。
それぞれ引数は下表のようになっています。
引数 | 選択データ | 内容 |
---|---|---|
目標期日 | A18 | 2023/1/17 |
値 | B2:B17 | 60, 20, 30, 40, 50, … |
タイムライン | A2:A17 | 2023/1/1, 2023/1/2, 2023/1/3, 2023/1/4, … |
季節性 | 7 | 日次集計で、曜日に件数が影響 |
補間 | (省略) or 1 | タイムライン内の欠落部分を自動的に保管 |
集計 | (省略) or 1 | 同じタイムラインに複数の値がある場合、平均値を採用 |
今回の過去実績データは、故意に一定の規則性を持たせていました。
- 規則性①:月曜から日曜に向かって毎日+10件
- 規則性②:翌週は前週+20件
規則性に従うと1月17日(火)は70件となりますが、FORECAST.ETSの計算結果も70件と合致しました。
FORECAST.ETSが規則性を読み取り、将来の件数を予測した事が分かります。
もちろん実際の件数は、明確な規則性などなくバラつきが出ます。
しかし、その中でも近似的な規則を見つめ、予測結果を出力してくれます。
注意点:予測精度を上げるための重要事項
コツ①:特別な要素で実績データが異常値となった日は、削除する。
例)
- 天候が影響する窓口における台風の日
- 商品のリコールが発生してしまった時
- 商品価格改定時 等
上例のように、明らかにイレギュラーな要素で実績データが異常な数値となっていた場合、その日のデータを空欄にする事を推奨します。
引数「補間」を省略または1にしておけば、イレギュラーが生じなかった場合の件数を推測してくれるため、データ不足という問題は起りません。
引数「季節性」を7に設定し、曜日基準の規則性で測る場合は、祝日も外してしまった方が良いでしょう。
コツ②:タイムライン(過去実績)のデータ量は多い方が良い
過去実績のデータは多い方が、適切な結果になりやすいです。
予測数値が適切でないと感じる場合、過去実績の対象範囲を増やすと改善するかもしれません。
※その分計算時間は増えます。
ただし、規則性が読み取りやすいのか?季節性(周期)がどれくらいか?によって必要データ量は大きく異なってくるため、一概に「何件あれば良い」とは言えません。
皆さんが保有する実績データを用いて、実際に試してみる事を推奨します。
コツ③:最後は手動
便利な関数としてここまで紹介してきましたが、日付以外の多くの要素が絡まって問合せ件数に影響する状況では、予測が立てられない可能性もあります。
また、コツ①の例にあるような要素が想定できる場合、手動での調整は必須です。
結局のところ、自身の経験を基にした手動の予測もしっかりと立てる事が大切です。
自身が想定した予測件数と、関数で計算した予測件数を照合する事で、精度の高い予測が実現出来ます。
まとめ
今回は、Excelの「FORECAST.ETS」関数を用いて、コールセンターに来る問い合わせ件数を予測する方法を紹介しました。
この関数は適切なデータ量と適切なモデリングを行う事で、将来の問い合わせ件数を予測し、迅速かつ効果的な対応策を立てる事ができます。
ただし、予測は一つの情報源に過ぎず、経験と判断力も重要な要素です。
予測を有効に活用しながらも、常に柔軟性とバランスを持って適切な意思決定を行いましょう。
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