一次解決率とは?
一次解決率とは、顧客からの問い合わせやクレームを初回のコンタクトで解決する割合のことです。
高い一次解決率は、顧客満足度の向上やコールセンターの作業効率アップ、コスト削減に寄与します。
一次解決率の適正値は、業界や業種、サービス内容、対象顧客層などによって異なりますが、70%以上や80%以上だと良好とされることが多いようです。
今回は、一次解決率の変化で工数(業務量)がどれくらい変化するのかを検証してみました。
二次対応が発生すると、工数4倍?
一次対応と二次対応の工数
まずは、一次対応で完結せず二次対応が必要になった場合、どれくらいの業務量が追加で必要になるかを考えます。
ここでの業務量とは、対応に必要な時間(≒工数)を指すことにします。
- 一次対応=顧客との通話+後処理(対応履歴、データ更新)
- エスカレーション(一次対応⇒二次対応の連携)
- 二次対応=顧客との通話+後処理(対応履歴、データ更新)
一次対応の工程と必要工数
通常の一次対応を完結するまでに必要な工数(顧客との通話+後処理)を基本(100%)として考えます。
エスカレーションの工程と必要工数
エスカレーションでは、まず一次対応担当者が、対応履歴に通常の対応履歴+αとして、エスカレーションに至った経緯を記載する必要があります。
その上で、二次対応担当者(コールセンター内上司、別部署担当者、外部協力企業等)に電話やツールで連携します。
この時点で一次担当者の必要工数として、一次対応と同等程度(100%)の時間は必要でしょう。
二次対応担当者についても、電話やツールで連携を受けた上で、一次対応では完結しなかった問合せへの対応方法を検討・決定する事が必要になります。
二次担当者の必要工数として、ここでも一次対応と同等程度(100%)の時間が追加で必要となります。
二次対応の工程と必要工数
二次対応では、(電話で解決する場合)顧客との通話と後処理が発生します。この対応も①同程度(100%)の工数が必要となります。
電話で解決せず、何らかのバックヤード作業や現地訪問等が必要となれば、比べ物にならないでしょう。
各工程での業務に必要な時間は、①一次対応:100%、②エスカレーション:200%(一次対応担当者:100%+二次対応担当者:100%)、③二次対応:100%以上となります。
つまり二次対応が必要になった場合、一次対応(①)と比べて追加で3倍以上(②+③)、合計4倍の工数が必要となります。
※上記想定を前提とした一般例です。
※各工程に必要となる時間は窓口次第のため、上記の倍率は窓口によって異なります。
数字で見ると、二次対応には想像以上の工数が必要なんだね。
一次解決率が下がると、工数はどうなる?
入電件数 (一次対応件数) | 一次解決率 | 二次対応が 必要な件数 | 二次対応工数 1件につき一次対応3件相当 | 一次対応 +二次対応の 合計工数 |
---|---|---|---|---|
100件 | 50% | 50件 | 150件相当 | 250件相当 |
100件 | 60% | 40件 | 120件相当 | 220件相当 |
100件 | 70% | 30件 | 90件相当 | 190件相当 |
100件 | 80% | 20件 | 60件相当 | 160件相当 |
100件 | 90% | 10件 | 30件相当 | 130件相当 |
100件 | 100% | 0件 | 0件 | 100件 |
上の表は、問い合わせ100件に対して、一次解決率が変化すると二次対応が何件必要となり、必要な工数がどう変化するかを、まとめたものです。
※工数の単位を「件相当」=1件対応するのに1人の従業員が要する時間としています。
一次解決率100%(100件)と比べると、一次解決率50%(250件相当)では2.5倍の業務量が必要となる事が分かります。
100%や50%という数値は現実的ではないですが、良好な数値として上述した70%(190件相当)と、90%(130件相当)を比較した場合でも必要工数が1.5倍近くの差となる事が分かります。
一次解決率が変わると、そんなに変わるの!?
まとめ
今回は、二次対応が発生した場合、どれくらい工数が追加で必要となるのか?
一次解決率が下がると、合計の工数はどれくらい変化するのか?について、それぞれ検証してみました。
もちろん各工程の必要工数は窓口次第であるため、実際にどれくらいの影響が期待できるかは窓口によって異なります。
ただし少なくとも、一次解決率を上げるだけで大きな業務改善が期待出来ることは分かります。
もしまだの人は、すぐにでも一次解決率の向上に取り組んでみませんか?