アジャイル型の組織運用
アジャイル型運用とは?
はじめに、アジャイル型とは、組織運用でも注目される考え方となります。
2001年の「アジャイルソフトウェア開発宣言」からソフトウェア開発の分野で重視されてきました。
かつては、トップダウン(ウォーターフォール型)で、マニュアルに則った運用が主流でした。
しかし、アジャイル型では、現場で都度開発・運用の改善をするといった考え方となります。
例えば、現場で何かインシデントが発生した際、既存のマニュアルをなぞるだけではありません。
そのインシデントを解決し、以後に活かすため、現場でマニュアルも改善していきます。
この考え方は、プロジェクトや組織全体において、柔軟性と効率性を高めるために活用されています。

アジャイル(agile)という言葉自体は、「素早い」や「迅速」といった意味を持ちます。
4つの基本的な価値観と12の原則
アジャイルソフトウェア開発宣言は、4つの基本的な価値観と、背景にある12の原則で構成されています。
まずはこれらを正しく認識する事から、アジャイル(迅速)な運用が始まります。
本記事では各原文を抜粋し、コールセンター組織の場合を想定した形で読み替えてみました。
具体的な実現方法はまた別記事で検証しますが、今回はその基本となる宣言そのものを紹介します。
アジャイルソフトウェア開発宣言の4つの基本的な価値観
原文(日本語)
私たちは、ソフトウェア開発の実践
あるいは実践を手助けをする活動を通じて、
よりよい開発方法を見つけだそうとしている。
この活動を通して、私たちは以下の価値に至った。プロセスやツールよりも個人と対話を、
包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを、
契約交渉よりも顧客との協調を、
計画に従うことよりも変化への対応を、価値とする。すなわち、左記のことがらに価値があることを
認めながらも、私たちは右記のことがらにより価値をおく。Kent Beck Mike Beedle Arie van Bennekum
© 2001, 上記の著者たち
Alistair Cockburn Ward Cunningham Martin Fowler
James Grenning Jim Highsmith Andrew Hunt
Ron Jeffries Jon Kern Brian Marick
Robert C. Martin Steve Mellor Ken Schwaber
Jeff Sutherland Dave Thomas
この宣言は、この注意書きも含めた形で全文を含めることを条件に
自由にコピーしてよい。
上述した4つの基本的な原則とは、2段落目の「プロセスやツール~」の件です。

プロセスやツール、ドキュメントや契約といった「定まったモノ」よりも
「人のニーズ」や「変化」に応える事の重要性を説いているようです。
今回はこれをコールセンター運用の目線に変えてみました。
コールセンター版
プロセスやツールよりもお客様との対話を、
アジャイル型のコールセンター運用4つの基本的な原則(仮)
完成された不変のマニュアルよりも更新可能なナレッジを、
売上拡大よりも顧客のニーズを、
計画に従うことよりも変化への対応を、
最後の行は、原文そのままとなりました。
ここから、コールセンターをアジャイル型で運用する場合の、重要なポイントが分かります。

やはり「お客様」「変化」この2つが重要なキーワードと言えるでしょう。
それでは続いて、その背景にある12の原則についても見ていきます。
アジャイル宣言の背後にある12の原則
原文(日本語)
私たちは以下の原則に従う:
アジャイル宣言の背後にある原則
- 顧客満足を最優先し、価値のあるソフトウェアを早く継続的に提供します。
- 要求の変更はたとえ開発の後期であっても歓迎します。
変化を味方につけることによって、お客様の競争力を引き上げます。- 動くソフトウェアを、2-3週間から2-3ヶ月というできるだけ短い時間間隔でリリースします。
- ビジネス側の人と開発者は、プロジェクトを通して日々一緒に働かなければなりません。
- 意欲に満ちた人々を集めてプロジェクトを構成します。
環境と支援を与え仕事が無事終わるまで彼らを信頼します。- 情報を伝えるもっとも効率的で効果的な方法はフェイス・トゥ・フェイスで話をすることです。
- 動くソフトウェアこそが進捗の最も重要な尺度です。
- アジャイル・プロセスは持続可能な開発を促進します。
一定のペースを継続的に維持できるようにしなければなりません。- 技術的卓越性と優れた設計に対する不断の注意が機敏さを高めます。
- シンプルさ(ムダなく作れる量を最大限にすること)が本質です。
- 最良のアーキテクチャ・要求・設計は、自己組織的なチームから生み出されます。
- チームがもっと効率を高めることができるかを定期的に振り返り、
それに基づいて自分たちのやり方を最適に調整します。
それではこちらも、コールセンター運用の目線に変えてみましょう。
コールセンター版
- 顧客満足を最優先し、価値のあるサポート窓口を継続的に提供します。
- お客様の声はたとえ忙しくても歓迎します。貴重な御意見を味方につけることによって、サービス品質を引き上げます。
- 窓口・サービスに改善点があれば、できるだけ短い時間間隔での改善を実現します。
- 窓口担当者は、お客様との接点を通して、顧客目線を持って働かなければなりません。
- 意欲に満ちた人々を集めてプロジェクトを構成します。
環境と支援を与え仕事が無事終わるまで彼らを信頼します。- 情報を伝えるもっとも効率的で効果的な方法は、フェイス・トゥ・フェイスで話をすることです。
- 顧客のニーズに応え続けることこそが、進捗の最も重要な尺度です。
- アジャイル・プロセスは持続可能な窓口改善を促進します。
一定のペースを継続的に維持できるようにしなければなりません。- 優れたITやマネジメントの技術を常に最適化し活用する事がサポート品質を高めます。
- シンプルさ(ムダなく、解決・サポートできる件数を最大限にすること)が本質です。
- 最良の窓口は、メンバーが協力して問題を解決し、お客様からの声も反映させ、意思決定を行うことから生み出されます。
- チームがもっと効率を高めることが出来るかを定期的に振り返り、
それに基づいて自分たちのやり方を最適に調整します。
いくつかはそのまま使えました。
そして、この文章では、コールセンター運用の核となりえる大切なことが記されています。

特に黄色のアンダーラインを引いた部分では、たびたびお客様の目線や声、満足が最優先である事が掲げられています。
その上でプロセスの最適化を進める事が重要だと分かります。
これらを原則としながら運用する事で、アジャイルなセンター運用が実現出来そうです。
まとめ
今回は、アジャイル型運用について下記のポイントで紹介しました。
- アジャイル型運用とは?
- アジャイルソフトウェア開発宣言における、4つの基本的な価値観と12の原則
- コールセンターの窓口運用に当てはめた場合
特に最後のコールセンターの窓口運用については、筆者も驚くほどマッチしました。
このまま、「アジャイルコールセンター運用宣言(仮)」としても活用できそうです。
このように、アジャイル型の組織運用では変化に強い組織を作ることが可能です。
そして、それは顧客目線を重視た組織とも言えるかもしれません。
もちろん、今回例に挙げたコールセンターも含めますが、今後より多くの組織体で活用されるでしょう。