本記事では、営業フレームワーク「BANT」にコールセンター運用を当てはめ、より素晴らしい顧客サポートを実現する方法を模索します。
BANTって何だろ?
「BANT」とは?
BANTは、1960年代にIBMが発表した、B2B営業における見込み客の絞り込み手法です。
営業担当者が4つの条件をそれぞれの見込み客に適合させ、サービスの購入確度を判断するための営業フレームワークです。
▽BANT情報
- Budget(予算)
- Authority(決裁権)
- Needs(必要性・需要)
- Time frame(導入時期)
『予算』があり、『決裁権』を持つ人が、『必要性』を感じ、『導入時期』が明確になれば、サービス・商品は売れる。
BANTを一言で
簡単に言うと、上記のようにまとめられます。
昨今ではBANTを応用したBANTCやMEDDIC等、様々な手法のフレームワークがあり、「BANTは古い」など言われる事もありますが、筆者の個人的見解では「BANT」は今でも十分有用なフレームワークです。
語呂の響きが良く覚えやすい、シンプルで使いやすい、という点は他の追従を許さないポイントでしょう。
「BANT」でコールセンター運用?
商品購入時の気持ち≒問合せをする時の気持ち
お客様は、現在持っている課題を解決し、現状を良くするために新たなサービス・商品を購入します。
実はコールセンターへの問合せする際の心境もこれと類似していて、現在のお困り事を解決するため、もっと良い状態にするためにコールセンターへ問合せをします。
そこで冒頭に挙げた通り、コールセンターの運用に営業フレーム「BANT」を当てはめる事により、お客様目線で最適なコールセンター運用を検討してみました。
そんな事が出来るの!?
Budget(予算)
コールセンターに電話をする際、お客様に必要な予算を挙げてみました。
電話代
携帯電話においては、通話料無料の定額プランが増えてきていますが、通信費が発生する契約の人にとっては、通話料負担は目に見える負担です。
企業側でフリーダイヤルやフリーコールといった着信払いサービスを用意すれば、お客様の負担は軽減し、高い満足度も得られるでしょう。
問合せにかかる時間(≒金)
よく「時は金なり」と言いますが、問合せにかかる時間もお客様の貴重な時間を費やすため、コストと言えます。
電話がなかなか繋がらない、1件の対応が長引く、保留が長い等、問合せから解決迄の時間を短縮する事が重要です。
有償サポート
問合せ時に訪問対応等で、サポートが有償になるケースもあります。
無償サポートの対象外である場合は、当然発生する必要コストと言えますが、お客さまが「有償になるのを知らなかった」というクレームが少なからず発生します。
「有償になる」という点はお客様にとってデメリットであり、お伝えしにくい話ですが、だからこそ必ず説明を怠らず納得していただく事が特に重要です。
Authority(決裁権)
コールセンターへ問合せをする際、その案件に対するお客様にとっての決裁者は様々なパターンが存在します。
多くの場合、対応フローは「本人」をベースに構築されますが、親子や兄弟姉妹等の親類、同居人や友人が代理にお問合せするケースも少なくありません。
あらかじめ窓口を設計する際、本人や代理者確認に必要な項目、案件によって依頼可能な代理者の条件を明確にする事で、全てのお客様へ毎回適切な対応を実現できるでしょう。
Needs(必要性・需要)
お客さまは、問合せする必要が生じたためお問合せをします。
そしてその必要性が生じた際、どこでどのように解決すれば良いか?が分からなければ解決しようがありません。
商品やWEBサイトやチラシ等、様々な媒体で問合せ方法を掲載しお客様に展開する必要があります。
電話やチャット、問合せフォームやコミュニティサイト等、様々な方法がありますが、お客様の利便性を優先し、需要に応えられる窓口を用意すべきでしょう。
問合せチャネルが多様化した現在においても、最も多くの需要があるチャネルは変わらず電話となっています。
よほどの理由がない限り、電話窓口だけは最低限用意しておくことが推奨したいです。
Time frame(時期)
BANTのTを「サポートを求めるタイミング」と定義し、コールセンターの受付時間と考えれば、最高の窓口体制は24時間365日で間違いないでしょう。
「いつでも問合せしたい時に問合せが出来る」という体制はお客様にとって素晴らしい体制です。
ただし、自社内で十分な教育を経た社員が24時間体制で窓口対応をし、お客様の全ての要望に応えるのは現実的に困難です。
対応時間を平日日中等のコアタイムに集中する、チャットボットを活用する、アウトソーシングを活用する等、色々な方法で自社にあった窓口を設計したいです。
まとめ
今回は営業フレームワークの定番「BANT」をご紹介し、これを基にお客様が求めるコールセンター運用を考えてみました。
「BANT」は、お客様の購入意欲の高まり度合いを測り、最適なタイミングで最適なサービスを提案する事を実現します。
コールセンターに当てはめた本記事では、お客様がサポートを受けたい最適なタイミングで最適なサポートを行なう事を実現するための方法論として活用しました。
「BANT」に当たるものはこれだけではないでしょうし、この内容をクリアしても、それだけで最上の窓口が出来上がるわけでもありません。
日々改善を繰り返し、お客様にとって素晴らしい窓口が増やしていく中で、参考の一つになれれば幸いです。