今回は、コールセンター、サポートセンター業界で徐々に知名度を上げてきたフレームワーク「KCS」について、御紹介致します。
KCSの運用
なぜKCSの導入が必要なのか?
KCSは、多くのサポートセンターが抱える下記のような課題を解決するために用いられる手法です。
- FAQが更新されておらず、最新の問合せに対応出来ていない。
- ノウハウが個人に溜まり、チームで共有されない。
- 研修に時間がかかる。離職率も改善したい。
サポートセンターのKCS運用とは?
KCSを簡単に言うと、問合せのたびにFAQを更新する手法です。
本記事では要点をまとめ、誰もが分かりやすい形で解説します!
サポートセンターにおけるKCS運用の具体的な流れは、下記のようになります。
- 問合せ受付時、毎回FAQを確認する。
- FAQになければ、追加する。
FAQにある場合、より適切な内容に更新できるようなら更新する。 - 次に同じ問合せが来た時、次の担当者がスムーズに対応できる。
まずはこれだけ理解すれば大丈夫です。色々詳しい説明をされる事も多いですが、シンプルに言うとこれだけです。筆者の認識も8割がた上記に集約されます。
具体的にどうすれば良いのか?
KCSは「FAQの更新頻度を上げよう」という手法です。
しかし実際の窓口運用においては、いきなり運用全体を変更するというのは、現実的ではありません。
まずは一部の窓口に限定し、FAQの更新方法を見直してみるという形がオススメです。ポイントを少しまとめました。
- 「誰が」「いつ」「何を」更新するか?を明確にする。※無理した頻度にしなくても良い。
- 自社の運用に適したFAQ管理ツールの導入を検討する。※無理に導入しなくても良い。
- 「更新して良いナレッジ」「更新してはいけないナレッジ」を明確にする。
無理なく少しずつ導入していく方がリスクは少ないでしょう。
KCSの解説
以下では、KCSの意味等を解説します。概要だけ知りたかった方は、ここまででも大丈夫です。
KCS = Knowledge-Centered Serviceの略
KCSとは、「Knowledge-Centered Service(ナレッジセンターサービス)」の略で、米国の非営利団体「サービスイノベーション・コンソーシアム」が発表した方法論です。
以前は「Knowledge-Centered Support(ナレッジセンターサポート)」と呼ばれていました。しかし現在は、「サービス」に修正されているようです。
カタカナでも表現されますが、日本語に直訳すれば「知識集約型サービス」となります。その名の通り、「知識」を「集約」する事で生まれる「サービス」ですね。おそらく、KCSの手法が単純にサポート窓口だけではなく、あらゆる分野の考え方でも活用できるから、その範囲を「サポート」から「サービス」に広げたのではないかと考えられます。
KCSはFAQ運用に適した方法論
上述した通り、KCSは「サービスイノベーション・コンソーシアム」が発表した方法論です。
⇒サービスイノベーション・コンソーシアムWEBサイト内での紹介文(和訳)
このコンソーシアムは、顧客エンゲージメント、生産性、成功に関わるイノベーションに焦点を当てた、サービスおよびサポート組織の非営利アライアンスです。
サイト内では、KCSについて下記のようにまとめられています。
- 知識の再利用、改善、(存在しない場合は)創造を問題解決プロセスに組み込む。
- 需要や利用状況に応じてコンテンツを進化させる
- これまでの経験を集約したナレッジベースを構築する
- 学習、コラボレーション、共有、改善への報酬
サポートセンターにおけるナレッジとは、質問への回答、いわゆるFAQの事です。これをより上手く活用する方法が挙げられています。
KCSをより詳しく知りたい人は
「簡単すぎじゃないか?もっと詳しく知りたい!」と言う方は、以下HDI-Japanのサイト内で詳しく紹介されていますので、そちらをご参照ください。
⇒ナレッジセンターサービス(KCS)~新しいナレッジの考え方~/HDI-Japan
※HDI-Japan・・・世界最大のサポートサービス業界のメンバーシップ団体
サポート業界の国際認定(HDI)を日本国内で正式に展開している団体です。KCSの資格取得を目標にトレーニング(有料)を受けることも可能なようです。※2022年2月現在
まとめ
今回はKCSについて、下記の内容を御紹介しました。
- サポートセンターのKCS運用とは、問合せのたびにFAQを更新する手法
- 無理なく少しずつ導入していく方がリスクは少ない
- KCS = Knowledge-Centered Serviceの略
しかし実際に勤務されている方はお分かりでしょうが、サポートセンターの運用は生ものです。単純に理論・ツールに当てはめれば全てがうまくいくものではありません。
KCSには囚われ過ぎず、一つの参考として捉えるくらいが、より上手く窓口運用を実現出来るでしょう。
最後になりますが、自社で窓口運用に困った際は、当社のようなアウトソーサーにご相談いただくのも一つの手段です。お気軽に御相談くださいませ。