本記事では、顧客のニーズを捉える商談テクニック「SPIN話法」を御紹介します。
理解をしてもなかなか活用が難しい「SPIN」。今回はそのコツを独自解説で分かりやすくご紹介します。
※活用方法は自由です。一つの参考記事としてご活用くださいませ。
くるくる回るスピン!!
・・・じゃないんだろうね、きっと。
凄い営業テクニックらしいよ!
・・・カスタマーサクセスとの繋がりも!?
「SPIN」とは?
SPINは、イギリス出身のNeil Rackham氏が著書「SPIN Selling」で公開した、顧客のニーズを顕在化させるヒアリング手法で、BtoBで営業で活用される事が多いです。
質問の流れを上手く組み立てる事で、「お客様自身が課題解決のために商品・サービスを必要とする。」という流れを作りやすくなります。
簡単に流れを紹介すると下記のようになります。
- Situation(状況)
お客様の状況を確認し、 - Problem(課題)
課題を共有する。 - Implication(影響)
その上で課題を放置した際に起こりうる影響を一緒に考え、 - Need payoff(解決イメージ)
最後にお客様自身で解決イメージを持っていただく。
各段階の頭文字を取って、SPINとなります。
商品を売り込むわけではなく、お客様自身に気付いていただく事をベースとしているため、SPIN話法は効果的に商談を進める質問テクニックとも言えるでしょう。
Situation(状況)
まずはお客様の状況を確認します。
ここでオススメするのは、事前準備で仮説を立て、ヒアリングしながら仮説との相違点を確認していくという方法です。
もちろんお客様の状況は、お客様本人に伺うのが一番早く確実です。
また、SPIN話法は、質問の中でお客様自身にニーズを感じていただく手法であり、お客様へ質問する事で一緒に状況を把握していくという形が望ましいです。
しかし、お客様は貴社がどんなサービスを提供しているか、十分には把握していない事がほとんどです。
何も制限せず「お困り事はありませんか?」とだけ聞かれても、何を相談すれば良いか分からず、長い時間かけて要点がまとまらなければ、お客様は「無益な時間を過ごした」と感じる事も多いでしょう。
また、今回紹介したいサービスと異なるポイントで自社のソリューションがお役に立てるかもしれません。
お客様のニーズと自社サービスを繋ぐためには、精度の高いヒアリングを行なう必要があります。
そこで有効なのが、予めお客様の状況を入念に調べ、現状の課題を予測し仮説を立てる事です。
予め仮説を立てる事により、必要な内容をクリティカルに確認し、商談をスムーズに進められます。
前もって有用な追加情報を準備する事で、より深い状況確認も可能となります。
もちろん、お客様からは「よく調べている」「よく分かってくれる」と、印象が良くなる可能性も高いでしょう。
直接ヒアリングする前に、最低でも、WEBサイトに掲載されているサービス内容や、最新のニュースは確認した上で、ニーズの仮説を立てる必要があると思います。
もちろん、より多くの情報を集めた方が
仮説の質も上がるよね!
Problem(課題)
状況確認後は、課題の共有となります。
この段階でのポイントは、お客さまが持っている課題を「質問形式」で顕在化させる事です。
これはこの後の段階でも重要な要素となります。
理想は「お客様自身で課題に気付いていただく」という形ですが、現実的には難しいです。
だからと言って、「お客様の課題は○○です。」と勝手に限定し提示するのも、自社商品を売り込んでいるのと同様で効果的な話法ではありません。
筆者は、お客様の課題を「質問形式」で課題を確認すると、上手くいきやすいと考えています。
お客様に課題を提示する時は、必ず疑問形(?)で問い、お客様から「その通り」という回答を得られるとステキです。
逆に、事前にお客様自身で課題を認識されている際も、必ず追加で質問をします。
質問と回答を繰り返しながら課題を洗い出していくと、一緒に課題を共有する、つまり一緒に課題を解決するという意識が生まれやすくなると思います。
これらは次段階のImplication(影響)で重要なポイントとなっていきます。
Implication(影響)
色々な日本語のWebサイトでは、示唆質問と表現される事が多いです。
課題を把握した上で、その課題を解決しない事による影響を深堀りし、緊急性を認識する段階となります。
Problem(課題)の段階と非常に類似しているせいか、多くの提案は「課題」と「解決策」で完結しています。
しかし、このImplication(影響)の段階を省略した形で提案を受けた際、お客さまは提案内容の緊急性を感じられず、「後日検討」「今後の参考」といった先送りの結論となるケースが多いようです。
Problem(課題)との違いを下表にまとめてみました。
Problem(課題) | Implication(影響) |
---|---|
自分の部署内の課題 | 管轄外の部署への影響 |
直面している現在の課題 | 将来発生しうる課題 |
既に気付いている課題 | まだ気付いていない課題 |
‐ | より大きな課題 |
これらはあくまでも一例ですが、Implication(影響)を考える事で、より大きな問題として捉え、早急な解決を目指しやすくなります。
この段階でも「質問形式」で深堀していく事が重要ですが、更なる重要ポイントとして「お客様と一緒に考える」という形を推奨します。
特にこの段階の影響については、元々お客様自身で気付いていないケースが多く、また先送りにしがちでもあります。
そこで重要なのが、一緒に考える事です。
商品・サービスを売りに来た他社の人間に、これらを急かされても拒否反応を示すことがほとんどでしょう。
しかし、一緒に課題を深堀りしていくとお客さまとの意識的な立場が変化します。
「売る側」「買う側」という意識が、一緒に課題に向き合う「仲間」という意識に変化し出すと、拒否反応は減り、次段階のNeed payoff(解決イメージ)を一緒に考えていく事が可能になります。
※演技ではなく、本当に一緒に考えていく事を推奨します。
Need payoff(解決イメージ)
状況・課題・影響を共有した後は、最後に解決イメージを共有します。
この段階で求められる事は、商品・サービスがいかに素晴らしいか?を伝える事ではありません。
その商品・サービスを活用した結果、お客様にどのような素晴らしい結果をもたらすか?をお客様自身でイメージしていただく事です。
サービス提案のキモとなる段階で、提案方法は各社工夫されていると思いますが、重要な点は共通です。
お客様の目的は商品・サービスを購入する事ではなく、その上で得られる解決・成功体験であるという事を意識すると良いでしょう。
お客さまは「お菓子を買う」という行為自体が目的ではなく、
~カスタマーサクセスとは~ by John Doe
「美味しいお菓子を買って、食べて味わい、幸せな気持ちになりたい」
またサポート業界では、2018年以降「カスタマーサクセス」というキーワードの認知度が急上昇し、カスタマーサクセスに注力するする企業は増え続けています。
「カスタマーサクセス」の意味は、まさに上記の内容、商品・サービスを利用した上でのお客様の成功体験をサポートする。というものです。
販売時のみではなく、継続的にお客様の成功をサポートする事でファン化が進み、長期的なサービス利用にも繋がっていくでしょう。
SaaSを始めとするサブスクリプションサービスでは特にそうですが、買い切り型の商品でも同様です。
購入時もその後のサポートにおいても、お客様へ成功体験を継続的に提供する事が重要です。
まとめ
今回は商談スキル「SPIN話法」と、活用のコツを紹介しました。
SPINはあくまでもテクニックの一つであり、重要なのはお客様の目線で考える事だと思います。
またNeed payoff(解決イメージ)にも挙げましたが、商品・サービスを購入いただく事を目指すのではなく、お客様に課題解決・成功体験をしていただく事を目的とし、商品開発・販路拡大・サポート体制の充実も進めると良いでしょう。
SPINを商談とは別視点(カスタマーサポート)に当てた記事も公開中です。